放熱効果の測定


下図は熱可塑タイプの放熱効果を他素材と比較した実験の一例です。

画像-氷水の実験

氷水中での放熱特性実験

異なる素材で作った同じサイズの箱の中に80℃のお湯を入れ,それを十分な大きさの0℃の氷水槽中に沈め,お湯の温度の経時変化を測定することで,素材による熱伝導性能の違いを検証しました。
 グラフの温度曲線から,銅,Al,鉄の金属類が最も早く4分以内で,次いでアルミナセラミクスがおよそ4分で,10℃以下の温度になっています。これに対し,不飽和ポリエステル等の樹脂類は,10分経っても20℃以下にはならず,熱伝導率が低いことが分かります。
ジーマ・イナスの温度曲線を見ると,概ね4〜6分で10℃以下の温度になっており,熱伝導性能は,樹脂類よりも,金属類・アルミナセラミクスに近いことが分かります。ジーマ・イナスは,複雑な形状のものが量産性良く成形できる樹脂の長所をそのままに,樹脂の短所である熱伝導率を大幅に改善していることがわかります。

画像-ランプ箱の実験

ランプ熱を利用した放熱特性実験

異なる素材で作った同じサイズの箱の中で電球を点灯させ,箱の内部温度の経時変化を測定することにより,素材による放熱性能の違いを検証しました。これはプロジェクタの箱のようなモデルで,空気への放熱である点が左の評価と異なります。
グラフの温度曲線では,熱伝導率の高い素材ほど内部温度の上昇が小さい傾向にあり,放熱性能は基本的には熱伝導率に依存するという結果になっています。ただ,鉄とアルミナセラミクスの順番が熱伝導率と逆転しているのは,熱伝導率が極めて低い空気への放熱の場合,素材の放熱性能を左右するもう1つの要素である「輻射」が影響していることがわかります。
ジーマ・イナスは樹脂と金属材料の中間に位置します。これを適用する場合,放熱させる相手は,例えば金属であったり,空気以外のものであることが,性能を十分に発揮する上で,より望ましい使い方と言えます。


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